【住宅ローン】繰上げ返済、夫婦間贈与に注意!!

【住宅ローン】繰上げ返済、夫婦間贈与に注意!!

こんにちは、皆川です。

今回は住宅ローンの繰上げ返済と夫婦間贈与についてお話します。

奥様からご主人に「私の親からの相続で、まとまったお金が用意できるから、繰上げ返済に使いましょうよ」

なんて聞こえたら、「それちょっと待った‼」と声をかけてあげたい。

夫名義の住宅ローンを繰上げ返済する時、妻の資金で繰上げ返済した場合、妻から夫への贈与とみなされることがあります。

家計の中でのやりくりなのに贈与なの?」「贈与税っていくら?」って「?」が沢山出てきそうです。

贈与税対象になったら、何のために繰上げ返済したのかわからないですよね。

贈与となる行動、実際の贈与税の金額や、対策などをまとめて解説します。

目次

これをすると繰上げ返済で贈与税がかかる

どれくらい贈与税がかかるの?

贈与にしないためにする注意する3つのこと

まとめ

これをすると繰上げ返済で贈与税がかかる

夫婦間でうっかり、やってしまいそうな贈与の事例を説明しましょう。

【夫名義の不動産の住宅ローンを妻の資金で繰上げ返済した場合】

本記事冒頭の奥様のセリフの話がこれです。

妻が親から贈与や相続などを受けたとします。

これを夫名義の住宅ローンの繰上げ返済に使おうとすると、夫に贈与税がかかります。

一方、夫の親から夫が贈与や相続した場合は、その時に贈与税や相続税について手続きが終わっているので、そのお金を夫自身がどう使おうと問題ないです。

夫名義の住宅ローンはその世帯で借金をしているわけではありません。

世帯の中の一人、夫が代表してローンを組んでいます。

夫婦で助けあって返済を進めた結果、贈与税がかかるなんて、悲しいしもったいないので気を付けましょう。

【夫婦連帯債務・ペアローン利用していて、持分割合で案分した金額を超えて返済した場合】

夫婦連帯債務やペアローンなど夫婦で返済をしている場合、繰上げ返済によって夫婦のどちらかが年間の返済額を持分割合で案分した金額を超えて返済した場合、その超えた分について贈与とみなされる可能性があります。

また、夫婦の合計所得に占める所得の割合でも超えた分を同じように贈与とみなされる可能性があるので注意しましょう。

住宅ローンは、家賃や食費のような生活に必要な費用とみなされない」という認識がないと贈与税を払うことになってしまうようです。

住宅ローンも贈与もいろいろ調べて、知っておくことが大事です。

どれくらい贈与税がかかるの?

では、実際どれくらい贈与税を払うことになるのか試算してみましょう。

専業主婦の妻が夫に450万円を贈与するとします。

年間110万円まで非課税となるため、450万円から110万円が基礎控除として引かれます。

450万円-110万円=340万円

この金額は「課税価格」と言います。

この課税価格340万円に贈与税率を乗じ、控除額をひきます。

贈与額が300万円を超えて400万円以下の場合、税率は20%、控除額は25万円なので、

340万円×20%-25万円=43万円

この43万円が、夫が払う贈与税額となります。

思いの他、高額で驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、贈与額が大きいほど税率が高くなることも知っておきましょう。

例えば、夫名義の住宅ローンの残債が1500万円、妻は専業主婦、これを夫婦で半分ずつ出して繰上げ返済する場合

1500万円×1/2=750万円

750万円が妻から夫への贈与になります。

上記と同じように計算すると、

750万円-110万円=640万円

600万円を超えて1000万円以下の贈与額の時の税率は40%、控除額は125万円なので、

640万円×40%-125万円=131万円

以上より、450万円の約1.67倍の750万円を贈与すると、約3倍の贈与税を払うことになります。

超過累進課税方式と呼ばれる計算方法で、公平性を考えた方法だそうです。

ちなみに、贈与税率は贈与額に応じて10%~55%まであります。

贈与税が発生するしないという話だけでなく、贈与額も考えた方が良さそうですね。

贈与にしないためにする注意する3つのこと

試算してみると、繰上げ返済するために贈与税の負担が発生するというのはもったいない、

できれば、夫婦間贈与とならないようにしたいと思いますよね。

贈与する金額やお金の渡し方で、対策する方法を3つご紹介します。

贈与額が年間110万円を超えないようにする。

贈与税の基礎控除額は110万円です。

1月1日から12月31日までの間で贈与の合計額が110万円以内であれば、課税価格が0円となるため贈与税が発生しません。 

・住宅の名義人に貸した形にする

妻から夫へ資金を貸したことにすると、贈与税を回避できます。

ただし、貸付したことを証明する文書、契約書を作成しておくことが大事です。

金銭消費貸借契約書」を作成し、金融機関の住宅ローンと同様に利息や返済期間について記載し、署名しておきましょう。

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<親から住宅資金を借入れする場合、贈与になってしまう5つの理由>https://ietateru-consul.com/blog/2571/

配偶者控除を利用して持分割合を変更する

贈与税の配偶者控除という特例があります。

2110万円までは贈与税が非課税で居住用不動産の持分を贈与できる制度です。

婚姻期間が20年を超える夫婦であることが条件になります)

その時に、繰り上げ返済を含めた住宅ローン負担額に応じて持分割合を変更すれば、繰上げ返済に充てた資金が贈与とみなされるのを回避できる可能性があります。

でも、繰上げ返済は残高の多い、早い時期にすると効果が大きいので、婚姻期間20年という条件が「まだまだ先の話」というご夫婦には向かない方法かもしれません。

まとめ

・夫婦間贈与によって、繰上げ返済の効果が薄まる。

・贈与税は超過累進課税方式のため、贈与額が高くなるほど贈与税の額が高くなる。

・年間の贈与額を基礎控除額の110万円までに抑え、課税価格を0円にする。

・妻から夫への貸付金として、資金を使う。金銭消費貸借契約書を作成しておく。

・配偶者控除を利用して持分割合を変更する

繰上げ返済をするためにどうしても夫婦間贈与したいという場合は、繰上げ返済による利息軽減などの効果と贈与税の金額を比べることをお勧めします。

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