こんにちは、皆川です。
今回は住宅購入時に、親から住宅資金の借入をする場合のお話です。
手続きを誤るとその借入金が贈与とみなされ、贈与税の対象となります。
そうならないように「贈与になってしまう5つの理由」を先に知っておきましょう。
では、解説していきます。
目次
1.贈与になってしまう5つの理由
2.親との金銭貸借関係を証明できる3つのこと
3.まとめ
住宅購入のための資金が自己資金だけでは足りない場合、住宅ローンを組みますね。
金融機関に借りるのが多いかと思いますが、中には親から借入れする人もいます。
後者は金利など気にせず、親との相談で返済計画が決められます。
金融機関から借入れする時とは異なり、建てた家を担保にする必要がない点も大きなメリットです。
親が我が子から儲けようとすることはあまりないかと思うので、金融機関から借りるより総返済額は少なくて済みそうですね。
でも、世間は厳しく、親子関係の貸借でも、しっかり返済計画が出来ていないと贈与とみなされ、贈与税がかかる場合があります。
そうなる理由は以下の5つ。
自己資金が足りないから、借金しているんです。
「お金がある時に返してくれれば良いよ。催促もしないからね」と優しく親に言われて、初めこそせっせと返すかもしれませんが、一度滞ると全然返さなくなったりします。
そうなると、「結果これは贈与では?」と税務署から言われてしまう訳です。
ちゃんと毎月決められた日に決められた額を返済しましょう。
② 借入額が多い
物件の価格からかけ離れた金額を借入額とすると、「その余剰分は贈与では?」となります。
➂ 無利子の返済
「息子から利子とるなんて、そんなのいらないよ」と親に言われても、相談の上お礼の気持ちで利息を払いましょう。
一般的に金融機関で借入れ可能な金額をはるかに超えている場合、例えば借りる子の年収が400万円で、金融機関での借入可能額2500万円だったとして、親から5千万円を借りたとする。
その収入で本当に5千万円返せる?返す気ある?と税務署から疑われます。
自分達の収入に見合った金額を親にはお願いしましょう。
⑤ 貸主である親の年齢からみて、返済期間が現実的でない
借入時の親の年齢を65歳とすると、返済期間35年なら、完済時の親の年齢が100歳。
これは、完済する気がないと思われます。
親との正式な金銭貸借関係があると認められる、贈与と疑われないために以下の3つのことが必要となります。
① 「金銭消費貸借契約書」か「借用書」を作成する。
貸借関係を書面で残すことが必要です。
後にトラブルになった場合でも記録があれば解決しやすいです。
「金銭消費貸借契約書」は同じものを2通作成して、貸主、借主それぞれが保管することになります。
「借用書」は借主から貸主へ渡されるだけですので、契約書の方をお勧めします。
きちんと返済計画を立てた上で契約書を交わしましょう。
契約書を自作するときは、検索すると出てくるひな形を参考にすると良いと思います。
絶対に必要な記載内容は、
貸主と借主双方の
・氏名
・住所
・押印
また、一般的には
・作成日
・借入額
・資金の受領日
・返済方法
・返済期日
・利息
・期限利益の喪失条項 など
期限利益の喪失条項というのは、当初、分割返済を認めたが1回でも滞ると一括返済を求めることができるという約束です。
また、借入額が1万円以上になる場合には、収入印紙が必要になります。
収入印紙を貼り忘れても、契約が無効になることはありませんが、支払義務のある税金を納めていないとみなされ過怠税(かたいぜい)を支払わなければなりません。
過怠税とは、印紙税を納付しなかったことによる罰金のような税金で、印紙税の額とその2倍に相当する金額の合計額を支払います。
② 物件の価格、借入額と収入のバランスが取れているか
例えば、月の生活費の半分を返済額が占めていたら貯金もできないし、破綻は時間の問題ですよね。返せる金額を設定しましょう。
➂ 実際に返済していることが証明できる支払い方法をとること(例:振込)
現金を「手渡し」のように、なんとなく親に返済したのでは証拠が残りません。
金融機関の口座を使って、振込の記録を保管するなどの策を講じましょう。
3.まとめ
贈与になってしまう5つの理由
・ある時払いの催促なし
・借入額が多い
・無利子の返済
・借主である子の年収から見て、返済が厳しい
・貸主である親の年齢からみて、返済期間が現実的でない
親との金銭貸借関係を証明できる3つのこと
・「金銭消費貸借契約書」か「借用書」を作成
・返済能力があると認められる借入額を設定すること
・実際に返済していることが証明できる支払い方法をとること(例:振込)
親から住宅購入資金の援助を受ける場合には、きちんと段取りを踏んでおくことが大切です。それは贈与と見なされないために必要なことですが、親子間のトラブルを回避するためでもあります。
不安な場合は税務署に相談をし、借り入れ条件に問題がないかを確認すると良いでしょう。
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