こんにちは、皆川です。
今回は住宅ローン減税と収入合算の関係についてお話します。
収入合算した場合、ペアローンや連帯債務、連帯保証ローンのどれかで組むことになりますが、住宅ローン減税の対象者が二人なのか一人なのか、実はわかっていない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
また、連帯債務で、「各借入額の割合」と「持分割合」に差がある場合、住宅ローン減税が少なくなるだけでなく、贈与税がかかることもあり注意が必要になります。詳しく見ていきましょう。
収入合算、住宅ローン減税については、以前の記事を参考にしてください。
収入合算
住宅ローン減税
目次
2.収入合算した場合、住宅ローン減税が減ることがある?
3.収入合算したときの確定申告は?
4.まとめ
1.収入合算の場合、住宅ローン減税の対象者は二人?一人?
夫婦で住宅ローンを組むと借入額を一人の時より増やせるメリットがあります。
また、住宅ローン減税は最大控除額が設定されているため、借入額が4000万円(認定長期優良住宅等の場合5000万円)を超える場合、二人でローンを組めばより住宅ローン減税の恩恵を受けることができます。
得した気がしますね。
夫婦で組む場合、各ローンの住宅ローン減税対象者は次のようになります。
ペアローン:夫、妻
連帯債務 :夫、妻
連帯保証 :夫
2.収入合算した場合、住宅ローン減税が減ることがある?
住宅ローン減税は、「各々の借入額の割合」と「所有権の持分割合」を考慮します。
連帯債務には持分割合によって住宅ローン減税の控除額が減るなど変わることもあるので注意が必要です。
【ペアローン】
夫の借入額 4000万円、妻の借入額2000万円の場合、
持分割合 夫:妻=2:1
借入額の割合と持分割合は同じになります。
この場合、住宅ローン減税はそれぞれの借入額に対して計算されます。
【連帯債務】
夫の借入額 4000万円、妻の借入額 2000万円の場合、
借入額の割合 夫:妻=2:1
持分割合 夫:妻=2:1
この様に借入額割合と持分割合が同じ場合は、それぞれの借入額に対して計算されます。
一方、借入額の割合と持分割合が異なるときは、持分割合で計算されます。
夫の借入額 3600万円、妻の借入額 2400万円の場合
借入額の割合 夫:妻=3:2
持分割合 夫:妻=1:1
所有権の持分割合で借入額を分けると 3000万円 ずつとなり、それに対して控除額が計算されます。
つまり、夫の住宅ローン減税対象額は 3600万円 ではなく 3000万円 に減額。
更に、夫は「3600万円 ― 3000万円 = 600万円 を妻に贈与した」とされてしまいます。
妻は夫から 600万円 を贈与されるため、その分の贈与税を払うことになります。
これは、避けたいですね。
連帯債務の場合は、持分割合を借入額割合と同じにすることをお勧めします。
【連帯保証】
夫だけが対象者になるため、総借入額に対して計算されます。
ちなみに、所有権は主たる債務者である夫だけが持ち、妻に所有権はありません。
妻は保証人という負担があるので、所有権が無いという事実は受け入れがたいですが、ここは決まり事なので仕方ない。夫に元気に全額返済してもらうことで、諦めましょう。
3.収入合算したときの確定申告は?
住宅ローン減税は確定申告が必要です。
特に、サラリーマンの場合、会社でまとめて税金など手続きをしているため、医療費控除など特別なことがない限り、通常確定申告をしません。住宅購入で住宅ローンを組む場合、住宅ローン控除を受ける特別なことが発生したため、初回だけ確定申告をする必要があるという訳です。
2回目以降は、秋になると送られてくる年末残高の計算明細書を会社に提出すれば、自分で確定申告する必要はなくなります。
ペアローン、連帯債務、連帯保証それぞれについて書類の作成部数などが異なります。
【ペアローン】
夫婦各々で書類を作成する。結果2部作成。
【連帯債務】
夫婦各々で書類を作成する。結果2部作成。
ただし、ローンとしては1本のため、書類が1部作成分しか届かない。
「連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」を追加で準備する必要がある。
【連帯保証】
主たる債務者である夫で1部作成する。
また、「ふるさと納税」を利用している方は注意が必要です。
「ワンストップふるさと納税」は確定申告をしなくて良い便利な制度ですが、住宅ローン控除で確定申告をする初回に限り、この制度が使えません。
忘れずに一緒に、ふるさと納税の確定申告を行ってください。
4.まとめ
収入合算のローンの組み方によって、住宅ローン減税の対象者数や対象額が変わることがわかりました。
・通常確定申告を個人で行わない場合は、住宅購入後、最初の確定申告のみ行う。
・「ペアローン」は、夫婦各々がローンを組むため、住宅ローン減税は各々の借入額によって計算される。確定申告も各々で行う。
・「連帯債務」は、借入額の割合ではなく持分割合に準じて住宅ローン減税が計算される。借入額の割合と持分割合が同じでない場合、借入額の設定が減額されたり、贈与税がかかったりする。借入額の割合と持分割合は同じにしておく方が良い。
確定申告は2部作成するが、ローンが1本であるため必要書類が1組しか届かない。取り寄せる必要がある。
「連帯保証」
・主たる債務者が1部作成する。
・ワンストップふるさと納税利用者は、初回の確定申告時にワンストップの制度が使えないため、ふるさと納税の申告もする。
収入合算は借入額を多くすることが出来るため、便利ですが、住宅ローンの組み方はよく考えて、うっかり損をすることがないように気を付けましょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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