こんにちは、皆川です。
今回は、住宅ローンの繰上げ返済についてお話します。
住宅ローンの返済方法の一つに「繰り上げ返済」があります。
メリットが多い噂は聞いているけれど、「本当にお得なの?」「手数料は?」「住宅ローン減税との関係は?」といろいろ考えてしまって、繰り上げ返済を敬遠している方もいるのではないでしょうか。実に、もったいない。繰り上げ返済を理解して、何百万円も得しちゃいましょう。
目次
2.繰り上げ返済はいつ、どれくらいやるのがお得?
3.繰り上げ返済とボーナス払いの違い
4.繰り上げ返済の手数料はいくら?
6.まとめ
繰り上げ返済はお金に余裕がある時に、ある程度まとまった金額を月々の返済とは別に返済するものです。
「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」があります。
返済期間短縮型:毎月の返済額を変えず、返済期間を短縮する方法
返済額軽減型:毎月の返済額を変えて、軽減し、返済期間は変えない方法
返済期間を短くしたいのか、返済額を減額したいのか目的によってどちらかを選びます。
また、繰り上げ返済できる最低金額の設定は1円~、10万円~、100万円~と金融機関ごとに異なるので確認しておきましょう。
通常、住宅ローンは元金と利息を同時に返済しますが、繰り上げ返済の場合は、返済する金額の全てを元金の返済に充てることができます。
つまり、借入額が直接減額されていくイメージです。
ローンの返済は利息の返済を優先するので、元金の多い早い時期に実行するのがお勧めです。
その分払う予定だった利息が無くなるため、より多くの利息軽減や、返済期間の短縮が図れるという訳です。
2.繰り上げ返済はいつ、どれくらいやるのがお得?
「返済期間短縮型」は「返済額軽減型」よりその効果が大きいです。
返済期間短縮型で繰り上げ返済した場合、どれくらい効果が得られるか試算した結果をざっくり以下の表にまとめました。
設定:収入650万円、借入額3500万円、フラット35、返済期間35年、固定金利1.12%(長期優良住宅)
条件
返済期間 | 総返済額 | 効果 | |
繰り上げ返済なし | 35年 | 約4300万円 | ― |
一部繰り上げ返済 100万円10年実施 | 25年 | 約4000万円 | 利息軽減:約300万円 返済期間:10年短縮 |
返済14年目に一部繰り上げ返済1000万円実施 | 25年 | 約4100万円 | 利息軽減:約200万円 返済期間:10年短縮 |
今回の設定の場合、繰り上げ返済をするとしないとでは何百万円も差ができました。
繰り上げ返済のタイミングも、「毎年」か「住宅ローン減税対象期間終了後に返済する場合」では「毎年」の方がお得になりました。
実際、毎年繰上げ返済するのは厳しい場合、全くやらないよりも「14年目にまとめて返済」でも良いと言えます。
ただし、繰り上げ返済時期を忘れずに覚えていることが重要です。
「ちょっと忘れそうだ」と思う方は、毎年返済をお勧めします。
ここでは、100万円10年の設定ですが、金額や期間は無理なく設定すればよいと思います。
実際は世帯年収が変動したり、急にお金が必要になったりして繰り上げ返済へ回せなくなることがあるかもしれません。
「やらないよりはやった方が良い」くらいの気持ちで、出来るときにできるだけ、非常時は無理しないことです。
また、借入時に保証金を先払いしている場合、戻し保証料が発生する場合があります。
戻し保証料については以下の記事を参考にしてください。
3.繰り上げ返済とボーナス払いの違い
年間の返済額の半分までならボーナス払いが出来ます。
月々の返済を少なく抑えて、年に2回のボーナスでまとまった金額を返済するというものです。少し繰り上げ返済と似ていますね。
「月々の返済額が少ないので、家計に優しいですよ」なんて銀行の担当者に笑顔で提案されたりします。
我が家は、「毎月の家計に優しい」という口車にまんまと乗っかってしまい、利息を多く払うことになってしまいました。
是非、銀行で返済シミュレーションをしてもらい、利息総額の差を比べてください。
あぁ、あの時の自分に教えてあげたい。
ボーナス払いの怖いところは、「利息が多くなる」、「絶対引き落とし日に払わなければならない」の二つです。
昨年からのコロナの影響で、ボーナスが減額された方、全く無かった方等も多いのではないでしょうか。
そんな大変な時でも、決まった日に決まった金額を引き落とされるのです。
一日でも支払いが遅れれば、金利14%くらいで催促されます。本当に怖いです。
その点、繰り上げ返済は気が楽です。お金に余裕のある時にご自分のタイミングで返済が出来ます。
やればやっただけ効果を得られるので、ゲーム感覚で楽しみながら無理なく返済しましょう。
でも、繰り上げ返済ゲームにのめりこみ過ぎて、手持ちのお金が無くならないように気を付けましょうね。
何にでも適量があります。
4.繰り上げ返済の手数料はいくら?
繰り上げ返済は手数料がその都度かかります。
ただし、「一部繰り上げ返済」であれば、ネット経由の場合だいたい無料です。「全額繰り上げ返済」=完済する場合はネットが使えず、手数料が掛かることもあります。
各金融機関によって金額は異なりますが、多くても数万円くらいです。必ず、確認しましょう。
5.住宅ローン減税と繰り上げ返済
住宅ローン減税対象期間中の繰り上げ返済は注意が必要です。
住宅ローン減税の適用要件に「住宅ローン返済期間が10年以上あること」とあります。
繰り上げ返済をして10年未満で完済してしまうと減税の対象ではなくなります。
繰り上げ返済と住宅ローン減税のどちらを優先した方が効率よく返済できるかは、金利や物件価格、各家庭内の状況で全く異なります。
他人を参考にせず、事前に住宅購入用ファイナンシャルプランニングを作成し、総合的に判断することをお勧めします。
6.まとめ
・繰り上げ返済は、やれば何百万円も節約できる、返済期間を年単位で短縮できる本当にお得な返済方法だった。
・繰り上げ返済は直接元金を減額することになるため、なるべく早く、元金が大きい内に始めた方が良い。ただし、無理は禁物。その時の家計と相談しながら返済額、返済のタイミングを決めよう。
・繰り上げ返済とボーナス払いの違いは、ボーナスは絶対、繰り上げ返済は自由ということ。またボーナスは毎月の返済額が抑えられるだけで、利息、返済総額が増えることになる。
・繰り上げ返済の手数料は、「一部繰り上げ返済」の場合ネット経由なら無料が多く、「全額一括返済」だと数万程度かかることもある。各金融機関で異なるため、確認が必要。
・住宅ローン減税対象期間中に繰り上げ返済によって完済してしまうと、減税の対象外となる。どちらを優先するかは、事前に住宅購入用ファイナンシャルプランニングを作成して総合的に判断した方がよい。
最後までお読みいただきありがとうございます。
住宅ローンの話は、聞きなれない言葉や難しいシステムに心が萎えることが多いと思いますが、繰り上げ返済は自分達の頑張り次第で結果が数字で出てくるので、簡単に始められる節約術として試してみてはいかがでしょう。