今回は収入合算についてお話します。
夫婦共働きが増えてきました。
コロナによる在宅ワークも増えてきました。
その影響なのか、注文住宅の購入を考えている若いご夫婦が増えてきたように思います。
若いご夫婦が注文住宅を購入する場合、世帯主の収入だけではその価格に借入額が届かないことがあります。
住宅ローンの審査は収入もその項目に入るため、世帯主の収入だけでは足りないということがあるのです。
貯金が沢山ある、親からの贈与があるなど、借入額を下げられる要素があれば良いのですが、なかなかそうもいかないですよね。
そんな時に金融機関から提案されるのが、収入合算です。
夫婦の収入を合わせて、借入額を多くする方法です。
とても簡単で便利な方法に見えますが、仕組みを良く理解してから利用しないと後々返済が苦しくなったりします。
では、その仕組みを見ていきましょう。
目次
1.収入合算とは
1.1 合算できる人・合算できる金額
1.2 連帯債務型
1.3 連帯保証型
1.4 ペアローン
2.年収に対する借り入れ可能な金額の算出
4.まとめ
1.収入合算とは
1.1 合算できる人・合算できる金額
収入を合算できる人は
人数 :1人まで
対象者 :同居している配偶者・親・子供など
対象者の条件:安定収入があること
勤務形態 :正社員(契約社員、派遣社員、パートは金融機関によって判断が異なる)
育休中の妻は、「育児休業証明書」などを提出すれば可能(但し、金融機関による)
合算できる金額は金融機関によって異なります。
合算者の収入の50%まで
合算者の収入全額
本人の収入の50%まで
1.2 連帯債務型
連携債務型は、夫婦二人で1本の住宅ローンを組む方法です。
代表的な住宅ローンはフラット35です。
二人とも同じ返済義務を負います。
所有権を分けることができます。
団体信用保険はそれぞれが利用できます。
フラット35を利用した場合、「デュエット(夫婦連生団信)」に入れば、夫婦のどちらかが死亡・高度障害状態になっても持分にかかわらず残債が全額返済されます。
また、それぞれが住宅ローン控除の対象者になります。
1.3 連帯保証型
連帯保証型は、一人が返済義務を負います。
収入合算者は債務者が返済できない場合に保証人として肩代わりすることになります。
フラット35以外の金融機関はほとんど連帯保証型です。
団体信用保険、所有権は債務者だけになります。
また、住宅ローン控除の対象者も債務者だけになります。
1.4 ペアローン
収入合算と似ているものでペアローンが有ります。
これは、二人がそれぞれに住宅ローンを契約する方法です。
それぞれが債務者になり、お互いに連帯保証人となります。
それぞれに団体信用保険加入ができ、所有権も取れます。
また、住宅ローン控除も二人で受けることができます。
但し、住宅ローンを2本契約するため、事務手数料などが2倍かかります。
2.年収に対する借り入れ可能な金額の算出
収入合算をすると実際の借入額はどれくらい増えるか試算してみましょう。
AさんとAさんの妻の収入50%を合算する場合
【Aさん設定】
Aさん年収:400万円
返済期間 :35年
返済負担率:35%
審査金利 :3%、4%
(審査金利が高い数値なのは、住宅ローン審査において、金利上昇によって返済額が増えてもちゃんと返済していけるかどうかを見るためです。実際には、審査金利は公表されていませんが、およそ3~4%と想像されます。)
Aさんの年間返済負担額
400万円×35%=140万円 (車のローン返済等も含む上限値)
400万円×35%/12×100万円/3849* → 約3031万円
400万円×35%/12×100万円/4428* → 約2635万円
*:100万円を借り入れた場合の毎月返済額。返済額早見表より引用。
【配偶者設定】
配偶者年収 :400万円
収入合算額割合:50%
審査金利3%の場合
(400万円×50%)×35%/12×100万円/3849* → 約1516万円
審査金利4%の場合
(400万円×50%)×35%/12×100万円/4428* → 約1318万円
【合算結果】
審査金利3%: 約3031万円+約1516万円=約4547万円
審査金利4%: 約2635万円+約1318万円=約3953万円
借入可能額は、
一人の場合:約2600万~約3000万円
合算の場合:約3900万~約4500万円
1300万円くらい加算できます。
注文住宅の場合、建物は2000万円くらいから購入可能で、土地購入も考慮すると合算した方が欲しい家に近い金額になりますね。
3.収入合算のメリットとデメリット
収入合算のメリットは、簡単に借入額を増額できること。
収入合算のデメリットは、ローンの途中から妻が育児や介護で働かなくなった場合、ローンを一本化するような借り換えが難しいこと。
そもそも一人の収入での住宅ローン審査が通らない金額を借入しているのですから、簡単ではないですよね。
また、夫婦が連帯保証型で収入合算した場合、夫が債務者、妻が連帯保証人となります。
債務者が返済できなくなった場合、連帯保証人である妻が残債の全額を肩代わりすることになります。
連帯保証型の妻の責任は非常に重く感じられます。
4.まとめ
収入合算は借入額を簡単に増額できる。
収入合算には、連帯債務型と連帯保証型がある。
収入合算者には条件が有り、それは金融機関によって異なることも多く確認が必要。
住宅ローン返済開始後、収入合算者の生活スタイルの変化により収入が変わると、返済はより厳しくなる。
収入合算するなら、夫婦そろってずっと働く覚悟が必要。
夫婦二人が欲しい家なので、一緒になって返済するのは自然なことかもしれません。
でも、長い返済期間に何が起こるかわかりません。
最初に将来を見据えて、いろいろなリスクに対応できるように資金計画を立てましょう。
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最後まで、お読みいただきありがとうございました。
自分達の家が、自分達を苦しめる物にならないよう、本ブログが住宅ローンのことを考える切っ掛けになれば嬉しいです。
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